「優しい食卓」で暮らしに豊かさを|テーブルウェア・フェスティバル2019 レポート

アートのように食卓に彩りを添えるテーブルウェア。年に1度の展示会である「テーブルウェア・フェスティバル」が、2/3(日)から2/11(月・祝)までの9日間にわたって東京ドームで開催されています。

今回で27回目を迎えた「テーブルウェア・フェスティバル」は、日本最大級の"食器の祭典"です。個性溢れる250以上の展示ブースが出展し、海外ブランドの新作や国内の逸品などを直接購入できます。

広い場内には、企画による展示やコンテストのブースも設置されて、見どころが満載!訪れた誰もが、あっという間の1日を過ごしてしまうような空間となっています。そんな「テーブルウェア・フェスティバル 2019」の魅力をレポートします。


イベントに参加したきっかけ

それは「優しい食卓」という専門誌を手に取ったことでした。食卓におけるテーブルウェアのコーディネートや、その文化的価値を伝える全150ページほどのムックです。年に1度の刊行ながら、発行元は"株式会社優しい食卓"という会社になっています。気になってお話を伺うと、ムックの内容は「テーブルウェア・フェスティバル」の様子をまとめたものとのこと。

「テーブルウェア・フェスティバル」には、毎年25万人以上が来場しているそうです。国内には、テーブルウェアを愛し、価値を高めて残そうとしている方がたくさんいることを教わりました。

「テーブルウェア(食器)が、一大産業になっているなんてすごい!」と感銘を受け、私も見学に行ってみることにしました。


3大特集|「ドイツ」と「波佐見」それから「ボタニカル」


特集が組まれたブースには、今年度ならではの3大テーマが掲げられています。

1)German Tableware ~Traditional & modern~

2)彩の食卓 カジュアルリッチ ~波佐見(はさみ)焼き~

3)Botanical Table ~ナチュラルな暮らしを愉しむ~


その中から、1)と3)についてレポートさせていただきます。


1)ドイツ磁器の「伝統」と「革新」に触れる

2017年の「北欧」、2018年の「英国」につづく2019年のテーマは「ドイツ」。ドイツと言えば、ヨーロッパ磁器発祥の国ですね。純白で薄さの際立つ器たちは、世界中のファンを魅了して止みません。歴史ある製作所から、日本初上陸のモダンなブランドまで。伝統と革新が織りなすコントラストをお楽しみください。

ゲートを入ってすぐ、光に照らされ神聖な雰囲気が漂っているこちらの展示は、「マイセン」によるもの。300余年の歴史を誇る、ヨーロッパの硬質磁器を生み出した有名ブランドですね。

どんな彩色のコーディネートにも、その格式の高さが滲み出ています。

上の写真は、1763年創業の「KPM Berlin(ベルリン王立磁器製陶所)」。磁器はベルリンで手作りされ、装飾画はフリーハンドによるという、丹念ながらもどこか温かみを感じさせる器たちです。

1747年創業の「FÜRSTENBERG(フュルステンベルク) 」より「SIEGER」ブランドの展示です(上の写真)。長年の伝統を持ちながら、ニューヨークや中国のスタイルを取り入れるなどチャレンジを忘れないブランド。主に、ギフト向けとして支持されるように、非日常の体験を得られる革新的なコーディネートがここにあります。

1748年の創業以来、世界中の人々から愛され続けてきた「ビレロイ&ボッホ」(上の写真)は、プレミアムでエレガントな日常を提供してくれるブランド。横長のテーブルを使用したシンプルなコーディネートは、白がよく映えています。

1965に設立された「DIBBERN(ディバーン)」(上の写真)からは、遊び心をくすぐる逸品が出展されています。素材には、骨灰磁器とも呼ばれる半透明で繊細なファイン ボーン チャイナを使用しました。意図的に優雅さを押さえたデザインで、素材の魅力を最大限に引き出しています。

hering berlin(へリングベルリン)」は、熟練のデザイナーでもあり工芸にも精通したステファニー・へリングにより、1992年に設立されたブランドです。何の変哲もないコーディネートかと思いきや?

ところどころに魚が見え隠れしています。

可能性の限界を探った製品開発に挑戦するアヴァンギャルドな姿勢を知ることができます。


テーブルウェア・フェスティバルの開会式には、駐日ドイツ大使館よりフォン・ヴェアテルン大使夫妻が出席、大使が挨拶をされました。ドイツが国として注目しているイベントであることが伺えます。


3)テーブルウェアが提案する「ボタニカルを愉しむ暮らし」

各国の陶磁器やガラス&クリスタルのブランドが、ボタニカルをテーマに器をコーディネートしました。とくに心を惹かれたコーディネートを紹介させていただきます。


例えば、1884年にポルトガルで産声を上げた「ボルダロ・ピニェイロ」によるこちらのコーディネート。

食器は自然の一部にも見えますし、植物はコーディネートの一部となっています。つまり、空間すべてを活かした「ナチュラルな暮らし」がテーブル上に演出されています。

テーブルの上に花を飾ることはあっても、外空間にある自然を意識したコーディネートは、これまで見られなかった例ではないでしょうか?テーブルウェアの文化が、本イベントによって醸成されているように思いました。


また、北海道の小樽からは、日本の春夏秋冬を思わせるきらめくガラス製品が展示されています。

出展は、明治34年(1901年)創業、石油ランプの製造から発展したという「北一硝子」。職人の手作りによる、ぬくもりや趣を感じさせてくれます。


以下は、筆者が、そのアートワークに感動した銀座「KAGAMI(カガミクリスタル)」の江戸切子です。

上の写真は、「竹の膳」シリーズ。職人の技により実現した水晶のように透明な「クリスタルガラス」からつくられています。切子の加工をほどこして「日本の竹」を表現するとは、この上なく素晴らしいワークだと感じました。

また、緑は、空間に溶け込む(配色を邪魔しない)色だそうです。季節を問わずに、利用できるそうです。日常の食事や晩酌のときに、器から日本を感じることができるのは素晴らしいですね。

このように、国内外の伝統と歴史、そして各ブランドのチャレンジに触れられる「テーブルウェア・フェスティバル」。いざ、記事にしてみると、その魅力を一度では伝えきれないことが分かりました(笑)。

このほかの展示については、続編でお届けしたいと思います。まずは本編をご覧いただき、ありがとうございます。

菅原 岬|浜松在住ライター

浜松在住在住ライター、菅原 岬 のページをご訪問くださり ありがとうございます。 ・不動産関連企業での新規開拓、収益管理の経験 ・タイ、バンコクでの日系企業様設立サポートの経験 を活かし、浜松企業さまの収益向上に貢献する情報発信をしています。

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