著名人による空間提案やコンテストも同時開催!|テーブルウェア・フェスティバル2019 レポート
2回にわたってお届けしてきた「テーブルウェア・フェスティバル2019」のレポートは、今回で最終回です。「こんなに楽しめちゃうの?」と思える仕掛けが、まだまだありますよ。早速、お伝えしていきますね。
"あの著名人"もテーブルコーディネート
各界の著名人による「おもてなしの食空間」が、個性豊かなテーブルコーディネートとともに紹介されています。以下に、4名の展示をクイズ形式で掲載したいと思います。
黒柳徹子さんとビーズアーティストの田川啓二さん、石坂浩二さん、 TETSUYA(L’Arc~en~Cielギタリスト)さん、小倉優子さんによる展示を順不同で掲載しています。
それぞれ、どれが誰のコーディネートか予想してみてください!
A )1人目
B )2人目
C )3人目
D )4人目
答え:A=TETSUYAさん、B=小倉優子さん、C=石坂浩二さん、D=黒柳徹子さんと田川啓二さん
著名人それぞれの特徴が出ていたと思います。みなさんの予想は当たったでしょうか?
第27回テーブルウェア大賞~やさしい食空間コンテスト~
「テーブルウェア・フェスティバル」では、テーブルウェア大賞を決めるコンテストも同時に開催されています。本コンテストは、「業界内最大の規模を誇り、食卓を彩るテーブルウェアの新しい提案と、日本の食文化発展への寄与をコンセプトに開催されている(オフィシャル当日パンフレットより)」そうです。
器から大小のテーブルコーディネートまで、多数の応募作品の中から1次審査を通過した206作品が会場に展示されています。その中から、テーブルウェア大賞、経済産業大臣賞など各賞が選出されました。当ブログでも、一部をご紹介させていただきます。
あれから30年、そしてこれからの30年|最優秀奨励賞 受賞作品
パネルには、「今は亡き義理父が、初めて天ぷらそばと、石川県の郷土料理で出迎えてくれた日から30年」という説明書きが。結婚記念日を毎年祝えることと、お義理父さまへの感謝の気持ちを表すコーディネートなのですね。器には、九谷焼や山中漆器といった郷土の漆器が用いられています。
仲睦まじいご夫婦が結婚記念を祝う姿が目に浮かぶようで、心から感動しました。テーマにどのような言葉を紡ぎだすかで、イメージされるテーブルシーンが変わりますね。
社会人2年目の娘へ
「去年、就職した娘とゆっくり過ごす自宅ランチタイム。パスタが大好きな娘と食前酒から始める大人な時間」とコンセプトの説明がありました。1年目を無事終えて、すこし大人になった娘さんの姿が想像されます。落ち着いた桜色と若草色、薄い紫紺を用いた演出から、娘さんに対するお母さまの思いやりと愛情が感じられました。
辛い!旨い!担々麵!
テーブルシーンに合わせたコーディネート以外にも、料理に合わせたものも。赤の映える漆黒を使ったこちらのコーディネートは、まさにテーマそのものが表現されていますね。「熱い、でも美味しい!」と言って、額に汗をかきながら担々麵を食べたくなりました。
うどん県へお帰りなさい!|奨励賞、婦人画報賞 受賞作品
パネルには、「『なん玉たべる?』久しぶりに帰省した友人に、故郷(香川)の味のしっぽくうどんをふるまう」と解説があります。故郷を離れたご友人が帰って来ることになり、「久しぶりに会いたいね」と話をしたのでしょうか?
「瀬戸内海の伊吹島のイリコでだしをとり、小豆島の醤油で味をとる」素朴ながらも最高の地元の料理でお出迎え。2人の仲の良さを感じさせるコーディネートとテーマが素敵ですね。
次に、テーブルウェア大賞 大賞・経済産業大臣賞を受賞した作品をご紹介します。
今宵、月の下で茶の・・・|大賞・経済産業大臣賞 受賞作品
何とも詩的なテーマの作品。季節は秋、テーマカラーは月の色。コンセプトは、「万葉のころ、男たちは愛しい女性を月にたとえ、女たちは男性の来訪を月に祈ったそう。今夜もいろいろな月を語り合いながら、お茶をたのしむ会を」。なるほど、夜長月の宴の茶の会をイメージさせる、シックで趣のあるコーディネートです。
また、前回のオリジナルデザイン部門・コーディネート部門の大賞受賞者による、“創り手”と“使い手”のコラボレーション展示も人気でした。
そのほかの展示ブース
彩りの暮らし
テーブルセッティングによる食空間の提案やチャイナペインティングを紹介。
特設ステージ
テーブルコーディネートを披露した著名人をはじめ、各分野の第一線で活躍している方々によるトークやライブステージが開催されていました。
洋の器への誘い
有名ブランド3社によるブースが展開されています。
✔「彩りのある日々を描く~上質なエッセンス~」ノリタケ
✔「至福のおもてなし~創業100周年~」大倉陶園
✔「レイノーとスパイスで彩る豊かな食卓」ハウス食品グループ社
中でも、国産の洋食器の歴史を築いてきた「ノリタケ」には触れておかなければならないでしょう。
▲写真は、東京ドーム公式サイト「テーブルウェア・フェスティバル2019」イベントページより引用
「白く、美しく、精緻な洋食器をこの日本でつくりたい」と、1904年に創業されたノリタケ。その発端は、江戸幕府の御用商人だった森村市左衛門が、東京の銀座に興した貿易商社の「森村組」でした。
実は、ペリーの来航以来、欧米から様々な文化が流入する一方で、日本の金が海外に流出していました。そんな中、福沢諭吉から「金を取り戻すには、輸出貿易(日本の製品を海外に売り込むこと)によって外貨を獲得することが必要だ」と説かれた市左衛門は、国のために自ら海外貿易を始めることを決意します。それは、日本の国力がどんどん弱くなってしまうことを憂慮してのことでした。
しかし、いざ操業したものの、生産を軌道に乗せるまでにはさらに試行錯誤の年月を要したと言います。
(以上、ノリタケのあゆみよりリライト)
ノリタケは、海外で受け入れられるのか? そのときは、どのタイミングなのだろうか?
そうしたことが分からない中での事業展開だったと思います。ましてや、現代と比べると海外との距離感も遠かったころです。どれだけの苦労があったのかは、想像もできないほどだったでしょう。
さまざまな苦節を乗り越えて、ノリタケが国内外で愛されるブランドとなったのは、「世界に通用する日本発祥の陶磁器を」という創設者たちの真っすぐな想い。そして、血のにじむような努力があったからだと思います。
そうしたブランドの歴史にも触れることができるのは、「テーブルウェア・フェスティバル」の魅力だと感じました。
編集後記|
会場に並んだ展示作品はどれも、国内や海外トップレベルのクオリティだと言えます。実際に見ることによって、テーブルウェアが与えてくれる安らぎや愉しさが肌身に伝わってきました。
ここで紹介した作品はほんの一部です。チャンスのある方は、2/11(月・祝)まで開催されている「テーブルウェア・フェスティバル」を訪れてみてはいかがでしょうか。
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