浜松駅から「シルクロード」に行けちゃう⁉古民家ミュージアムで古代の歴史に触れよう!

はじめまして。本記事のライター、前田朱里(まえだ あかり)です。普段は浜松市内の大学に通いながら、ライターの菅原ミサキさんのアシスタントを務めています。 今回、こちらではじめて記事を書かせていただきます。

先日、菅原さんと、とあるカフェで打ち合わせをしていたときのこと。次の取材先をどこにしようか悩んでいたところ、店員さんからこんなご提案をいただいたのです。

“シルクロード”の取材なんていかがでしょうか? 浜松駅から車で行けますよ!」

シルクロードって、まさか……ヨーロッパと中国を結び、全長6,400キロメートル以上になるという、あの交易ルートですか⁉ 浜松駅から車で行けるってどういうこと? そんな疑問を抱いたものの、好奇心の方が勝ります。私も菅原さんも目を輝かせて、次の取材先を「シルクロード」に決定したのでした。


浜松駅から車で40分。やってきたのは……

取材当日がやってきました。教わった所在地を目的地に設定し、浜松駅をいざ出発です!冒険気分で車を走らせ、天竜川沿いを20分ほど北上していきます。

たどり着いたそこは、磐田市上野部に佇む、一軒の日本家屋でした。「浜名梱包輸送 シルクロードミュージアム」の看板と、キュートなラクダの彫刻がお出迎えしてくれます。

なるほど、カフェの店員さんが言っていた「シルクロード」とは、シルクロードに関するミュージアムだったのですね! とはいえ、ここは日本家屋です。門をくぐって中に入り、チケットも玄関先で購入し、いよいよ中に足を踏み入れます。

「純和風な外観だけれど、さすがに建物内は美術館らしい展示空間になっているのだろうな……」なんて思っていたら大間違い。目の前に広がっていたのは、畳の大広間でした。

なんと、こちらの建物は、今から約250年前の豪農の住宅を譲り受けたものだそうです。増改築を経て、2階建てのミュージアムに生まれ変わっています。

1階では主に、日本国内の現代工芸品が公開されています。濱田庄司(はまだ しょうじ)や島岡達三(しまおか たつぞう)といった、人間国宝としても名高い陶芸家の作品が多数所蔵されています。我が国が誇る工芸の世界を、情趣あふれるシチュエーションで体感できました。

はじめて訪れる人も安心です。作品の解説はもちろん、建築や庭園、インテリアの一点一点まで、スタッフの方が丁寧かつ気さくにガイドしてくださいます。まるで実際のお屋敷に訪問しているようで、懐かしくも新鮮な鑑賞体験を楽しめました。


そういえば、シルクロードにまつわる展示品はどこにあるのでしょうか? 1階には、異国風な美術品は見当たりません。キョロキョロと周辺を見回していると、スタッフの方が2階へといざなってくださいました。

もしかして、と階段を上がると……

仏様から後光が差していました。



いよいよ「シルクロード」を体感!

突如として現れた仏像に、思わず拝んでしまいそうになる私。スタッフの方にやさしく促され、2階の展示室を見渡します。すると、そこにはエキゾチックな骨董品がズラリと並んでいました。

古代文字が刻まれた石板や、紀元前2500年ごろに使用されていた彩文土器など、すべて本物のお宝です。教科書でしか見たことのないような史料を目の前にして、驚きと興奮が抑えきれません!

そんな2階順路の最初に展示されているのが、私が先ほど拝みかけた弥勒菩薩像です。2~3世紀にガンダーラ地方(現在のパキスタン辺り)で制作されたそうですが、よく見ると、西洋らしい、彫の深い顔立ちをしています。その理由は、ギリシャ彫刻に影響を受けて作られたからなのだとか。スタッフの方に解説していただき、意外なルーツを学べました。

現在のパキスタンを中心に栄えたガンダーラ美術をはじめとして、イスラム陶器に古代中国の出土品といった、古今東西の美術品が観覧できる構成となっています。西洋美術から東洋美術へと、まるでシルクロードを辿るように展示品を鑑賞する体験になりました。

紀元前数千年から中世に至るまで、展示室には幅広い時代の品物がそろっています。かつて世界中を行き来したさまざまなお宝は、長い年月を経て、ショーケースに入っていても、迫力満点の輝きを放っていました。

さらに驚くのは、館内が撮影できることです。一部の展示品は触ってもOKとのこと(触る際は要確認)。神秘的な石板や、格調高い仏像にもタッチできるという、なんと貴重なミュージアムでしょうか。見て、触れて、確かめて……ほんの少し、古代の人々と心が通じ合えたような気がしました。


どうして浜松地域に「シルクロード・ミュージアム」ができたのか?

さて、そんな素晴らしい体験をもたらしてくれる本施設ですが、一体なぜ、この地で営まれているのでしょうか。

その秘密は、施設を運営されている「浜名梱包輸送株式会社」さんにありました。膨大な数の収蔵品は、同社の相談役である鈴木鐵男(すずき かねお)さんによって収集されたものだとか。会長さんと同級生であった考古学者、田辺勝美(たなべ かつみ)さんの協力もあり、日本有数のシルクロード・コレクションが形成されていきました。


さらに、美術品などの輸送業務を受けた企業とのつながりから、現代工芸品なども集まり、ミュージアムの開館に至ったとのこと。長年信頼されてきた物流企業ならではの背景ですね。

美術館を建ててまでコレクションを公開しようと決意した理由は、「地元の方々に見てもらい、地域の文化向上に貢献したい」という想いから。古民家を施設に選んだのも、地元の文化的な建物を後世に残すためでした。近年は、地域作家の作品展示やグッズ販売も行っているそうです。

天竜川と山々の間に佇む古民家は、人類の叡智を未来に繋ぐ、ロマンあふれるミュージアムでした。シルクロードが世界中の文化発展に影響を与えたように、この場所も、地域の人々の文化を支えているのですね。

本施設では、年3~4回開催される企画展のほか、季節に合わせて展示替えも行っているそうです。庭園からは、四季折々の景色も楽しめるので、リピーターも多いのだとか。

お茶室やカフェスペースも併設されています。美しい空間の中、悠久の時に身をゆだねてみてはいかがでしょうか。

さて、本記事では個性的なミュージアムをご紹介しましたが……浜松地域の穴場スポットは、まだまだ存在します。今後とも、さまざまな人や場所にフォーカスし、浜松地域の魅力を発信していきますので、どうぞお見逃しなく!



施設情報

シルクロード・ミュージアム

所在地:〒438-0111 静岡県磐田市上野部888
TEL:0539-63-5050
開館時間:9:30〜17:00
休館日: 月曜日(月曜日が祝日の場合は開館、翌日休館)
入館料:一般・大学生:900円 学生(中・高):500円 小学生以下:無料(税込み 団体割引あり)
WEBサイト:https://www.silkroadmuseum.org/
Instagram :https://www.instagram.com/silkroadmuseum_hamanakonpou/


菅原 岬|浜松在住ライター

浜松在住在住ライター、菅原 岬 のページをご訪問くださり ありがとうございます。 ・不動産関連企業での新規開拓、収益管理の経験 ・タイ、バンコクでの日系企業様設立サポートの経験 を活かし、浜松企業さまの収益向上に貢献する情報発信をしています。

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